メルカリの記帳方法は、売上を「取引成立日」に売掛金として計上し、手数料10%を販売手数料、送料を荷造運賃として仕訳するのが基本です。 発生主義の原則に基づくこの判断基準は、青色・白色どちらの申告でも変わりません。 この記事では、勘定科目の一覧・計上タイミングの判断基準・数字付きの仕訳例をまとめて確認でき、簿記の知識がなくても帳簿入力できる状態になれます。

メルカリの記帳に必要な基本知識

まず「自分は記帳が必要なのか」という前提を確認しておきます。申告方式によって帳簿の形式が変わるため、勘定科目を覚える前にここを整理しておくと、後の作業がスムーズです。

記帳が必要になる条件と青色・白色申告の違い

給与所得者がメルカリで副業をしている場合、所得金額や他の所得の有無によって確定申告が必要になる可能性があります。一方、給与所得がない方の申告基準は、その年の基礎控除額などで変わります。令和7年分以後は基礎控除が見直されているため、最新年度の基準を確認してください。なお、住民税は雑所得が1円以上でも申告が必要なケースがあるため、自治体への確認をおすすめします。

申告方式は、青色申告と白色申告の2種類があります。

  • 青色申告:複式簿記(借方・貸方)による帳簿付けが基本。最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
  • 白色申告:収支内訳書への合計記入でよく、仕訳の形式は不要。手軽だが控除額は少ない
  • 共通事項:帳簿や領収書は、種類に応じて5年または7年を目安に保管する

複式簿記と聞くと難しく感じるかもしれませんが、メルカリ取引で使う勘定科目は限られています。よく使うものを先に把握しておくと、入力作業がぐっとシンプルになります。

メルカリ取引で使う主な勘定科目一覧

メルカリの帳簿付けで登場する勘定科目は、取引の種類ごとに対応しています。

取引の内容勘定科目
商品の売上売上高
メルカリ手数料(販売価格の10%)販売手数料
発送にかかった送料荷造運賃
商品の仕入れ代金仕入高(または売上原価)
売上が確定したが未入金の金額売掛金

「売掛金」は、購入者の受取評価が完了したものの、まだ振込申請していない残高のことです。メルカリでは売上確定から入金まで時間差があるため、この科目が帳簿上で生じます。

梱包材や撮影機材は消耗品費、スマホ代やインターネット回線は通信費(事業利用分を按分)として計上できます。ただし、プライベート利用分や事業との関連が説明できない支出は経費にできないため注意が必要です。

勘定科目が整理できたところで、次は「いつの日付で記帳するか」という計上タイミングの判断基準を確認します。

記帳タイミングの判断基準と注意点

記帳で迷いやすいのは、勘定科目よりも「どの日付で計上するか」という点です。同じ取引でも日付を間違えると、帳簿と実態がずれてしまいます。

売上計上は「取引成立日」と「入金日」のどちらか

結論から言うと、売上の計上日は取引成立日が基本です。

会計では「発生主義」という考え方が原則で、お金が動いた日ではなく、売上が確定した日に計上します。メルカリの場合、購入者が受取評価を完了した時点が「売上の確定日」にあたります。

  • ✅ OK:購入者の受取評価が完了した日付で「売上高」を計上する
  • ❌ NG:振込が実際に口座に入った日を売上計上日にする

入金日を計上日にする方法は「現金主義」と呼ばれ、一部の例外を除いて確定申告では認められていません。青色申告でも白色申告でも、原則は発生主義で処理します。

メルカリでは、受取評価の完了から振込申請・入金まで数日から数週間かかることがあります。そのため、売上が確定した時点では「売掛金(まだ受け取っていない売上)」として記録し、実際に入金されたタイミングで「売掛金→現金・普通預金」に振り替える2段階の仕訳が必要になります。この流れを知っておくことが、複式簿記の帳簿付けではとくに重要です。

送料手数料を計上する日の判断基準

販売手数料と送料は、売上と同じタイミングで計上します。

手数料10%と送料は、取引が成立した時点で発生が確定する費用です。そのため、売上計上日と同じ日付で経費として記録するのが基本です。入金時にまとめて計上するのはNGのケースです。

よくある勘違いとして、「振込金額を見て帳簿に入れているので問題ない」と思うケースがあります。しかし振込金額は手数料・送料が差し引かれた後の金額です。この金額だけを売上として記録すると、売上高が実際より低く計上され、経費も記帳されない状態になります。期末に売掛残高が合わなくなり、後から修正するのが大変になります。

正しい流れは以下のとおりです。

  • 取引成立日:売上高を売掛金として計上、同日に手数料・送料・仕入高を経費計上
  • 入金日:売掛金を現金または普通預金に振り替える

白色申告の場合は複式仕訳は不要ですが、売上の合計・手数料の合計・送料の合計を別々に集計できる状態にしておくと、収支内訳書の記入がスムーズです。

タイミングの判断基準が整理できたところで、次は実際の仕訳の書き方を具体的な数字で確認します。

メルカリ取引の実際の記帳手順と仕訳例

具体的な数字があると、仕訳のイメージがぐっとつかみやすくなります。ここでは販売価格3,000円の取引を例に、帳簿入力の流れを順番に確認します。

取引成立時・入金時の仕訳ステップ

まず、取引全体の損益を把握しておきます。手数料・送料・仕入れを差し引いた実際の利益は次のとおりです。

計算例

販売価格
3,000円
メルカリ手数料 10%
300円
送料 らくらくメルカリ便
210円
仕入れ値 ポイント値引き後の実費
1,000円
利益
1,490円

この数字をベースに、複式簿記(借方・貸方の2列で記録する帳簿付けの形式)の仕訳を2段階で入力します。

ステップ1:取引成立時の仕訳

購入者が決定した日(取引成立日)に、売上と関連費用をまとめて計上します。

  • 借方:売掛金 3,000円 / 貸方:売上高 3,000円
  • 借方:販売手数料 300円・荷造運賃 210円・仕入高 1,000円 / 貸方:売掛金 1,510円

1行目で「商品を売った権利(売掛金)」を立て、2行目で「かかった費用分だけ売掛金を減らす」イメージです。この2行をセットで入力するのが、発生主義にもとづいた正しい記帳方法です。

ステップ2:振込入金時の仕訳

メルカリでは振込申請後に実際の入金があります。その時点で売掛金を現金・預金に振り替えます。

  • 借方:普通預金 1,490円 / 貸方:売掛金 1,490円

入金額は手数料・送料・仕入れを差し引いた後の実入金額になるため、ステップ1で立てた売掛金の残高と一致する形になります。

白色申告の場合は、複式仕訳は不要です。収支内訳書に「売上の合計」「経費の合計」をそれぞれ記入するだけで対応できます。帳簿は簡易な収支記録(日付・金額・内容)でかまいません。

freee・マネーフォワードでの入力ポイント

会計ソフトを使う場合も、入力の考え方は手書きの仕訳と同じです。

freeeの場合

  1. 「取引を登録」→「収入」を選択し、勘定科目に「売上高」を入力
  2. 同じ画面で「明細を追加」から費用行を追加し、「販売手数料」「荷造運賃」「仕入高」をそれぞれ入力
  3. 日付は取引成立日を入力し、保存

1つの取引画面で収入と費用を同時に登録できるため、仕訳を分けて考える必要がありません。

マネーフォワード クラウド会計の場合

  1. 「仕訳帳」→「手動で入力」から新規仕訳を作成
  2. 収入行に「売掛金 / 売上高 3,000円」を入力
  3. 費用行を追加し、「販売手数料・荷造運賃・仕入高」をそれぞれ別行で入力

どちらのソフトも、取引成立日と入金日の2回に分けて入力する点は共通です。入金時は「普通預金 / 売掛金」の仕訳を追加で登録します。

取引件数が少ないうちは手入力でも管理できますが、月に数十件を超えると1件ずつの入力ミスや漏れが積み重なりやすくなります。確定申告の直前に過去の取引を遡って修正する作業は、想像以上に時間がかかります。日ごろからデータを取引単位で蓄積しておく習慣が、申告作業の負担を大きく左右します。

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記帳を継続するための仕組みづくり

取引件数が少ない時期は、手入力でも十分に管理できます。ただ、出品数が増えてくると、話は変わってきます。

売上データを日常から蓄積しておくメリット

確定申告の直前に1年分の取引をまとめて整理しようとすると、過去の取引履歴を1件ずつ遡るだけで数時間かかることがあります。メルカリの管理画面には取引履歴が残っていますが、手数料や送料を後から引き出して合計するのは、件数が多いほど手間と時間がかかります。

対照的に、取引が成立するたびに売上・手数料・送料・仕入れ値を記録しておくと、年末の集計作業は大きく変わります。

  • 手数料合計・送料合計・仕入れ合計をすぐに確認できる
  • 経費の計上漏れに気づきやすくなる
  • 帳簿付けのための記憶や推測が不要になる
  • 青色申告の複式簿記にも対応しやすくなる

たとえば、月に30件出品するペースなら、年間で360件前後の取引データになります。これを12月や1月にまとめて入力しようとすると、勘定科目の判断を含めて相当な作業量になります。取引のたびに短時間で入力する習慣の方が、結果として負担は少なくなります。

個人メルカリでは、販売履歴をWebサイトで確認できますが、公式のCSV出力機能は提供されていません。会計ソフトへ取り込むデータを作りたい場合は、Webの販売履歴を見ながら手入力するか、フリマ専用ツールでCSV化したデータを使う形になります。ただし、手数料・送料・仕入れ値の扱いは必ず確認し、CSVをそのまま読み込むのではなく「取引記録の確認と入力補助」として使うイメージが安全です。

帳簿・領収書の保存期間は、帳簿・書類の種類や申告区分によって5年または7年が目安です。CSV形式でデータを保存しておくだけでなく、仕入れ時のレシートや梱包材の領収書も合わせて保管する必要があります。日常のうちに記録と保管の場所を決めておくと、後から慌てずに済みます。

記録の習慣さえ整えておけば、確定申告の作業時間は大幅に短縮できます。

勘定科目の整理からやり直したい方は メルカリ経費の勘定科目一覧 を、売上帳簿の書き方だけを切り出して確認したい方は メルカリ売上の帳簿の書き方 も相性がいいです。

まとめメルカリ記帳の要点

記帳の基本さえ押さえておけば、確定申告は思ったよりも怖くありません。この記事で解説した要点を整理します。

  • 売上は取引成立日に「売掛金/売上高」で計上するのが、発生主義の基本
  • 手数料10%は「販売手数料」、送料は「荷造運賃」、仕入れは「仕入高」として記帳する
  • 青色申告は複式簿記の仕訳が必要、白色申告は収支内訳書への合計記入でよい
  • 取引ごとにデータを蓄積しておくと、確定申告の集計作業が大幅に楽になる

勘定科目や計上タイミングは、一度整理してしまえば毎回迷わなくなります。まずは直近の取引を1件だけ、正しい日付と勘定科目で記録してみるところから始めてみてください。

記帳の土台が整えば、確定申告前の前処理がぐっとラクになります。