副業の帳簿は、手書きでもExcelでも税務署に認められます。 帳簿の形式を定めた法律はなく、収支が正確に記録されていれば形式は問われません。 この記事を読めば、自分の副業規模に合った方法を選んで、今日から帳簿をつけ始められます。

副業の帳簿とは何か|手書き・Excelどちらでも認められる理由

副業の帳簿は、手書きでもExcelでも税務署に問題なく認められます。法律上、帳簿の形式は指定されていません。税務署が確認するのは「収支が正確に記録されているかどうか」だけです。

20万円以下の副業でも帳簿は必要か

「年間20万円以下なら確定申告が不要だから、帳簿もいらない」と思っている方は多いです。ただ、これは正確ではありません。

給与所得者の場合、雑所得などの金額によって所得税の確定申告が不要になるケースがあります。一方、住民税は所得税と基準が異なり、申告が必要になるケースがあります。住民税の申告時に収支の記録が手元になければ、後から数字を再現するのが難しくなります。

翌年も副業を続けるなら、収支の記録は最初から習慣にしておいた方が安心です。所得税の申告が不要な年でも、住民税の確認や翌年以降の申告判断で過去の数字が必要になることがあります。「申告が不要な年だから記録もしない」という判断は、後から思わぬ手間を生むことがあります。

帳簿に最低限必要な5つの記録項目

簡易帳簿(白色申告で使う基本的な記録帳)に最低限必要な項目は、次の5つです。

  • 日付:取引が発生した年月日
  • 取引相手:販売先や仕入れ先の名称(例:メルカリ、〇〇ストア)
  • 内容:何を売ったか、何の経費かがわかる摘要
  • 収入金額:入金された金額
  • 支出金額:支払った経費の金額

たとえば、フリマで洋服を売った場合、「取引相手=メルカリ」「内容=洋服売上」「収入金額=3,000円」のように記録します。確定申告で使う収支内訳書(白色申告の申告書類)も、この5項目をベースに集計する構造になっています。

記録する項目が分かったところで、次は手書きとExcelのどちらが自分の副業規模に合っているかを確認します。

手書きとExcelの帳簿を比較|副業規模で選ぶ判断基準

どちらを選ぶかは、月の取引件数と年間の収入規模が目安になります。自分の副業がどちらに近いか、確認しながら読んでみてください。

手書きが向いているケース・Excelが向いているケース

取引件数が少ない副業なら、手書きの簡易帳簿で十分対応できます。たとえば、月に5件以下のフリマ販売で年間収入が20万円前後の場合、ノートに日付・取引内容・金額を書くだけで記録が完結します。初期費用ゼロで、道具を用意しなくても今日から始められる点が最大のメリットです。

一方、取引件数が月10件を超えてくると、手書きでは集計に時間がかかり始めます。複数カテゴリの経費(送料・梱包材・交通費など)が混在する場合は、ExcelのSUM関数で自動集計できる構成が便利です。確定申告の収支内訳書(白色申告の際に提出する書類)を作るとき、列ごとの合計がそのまま転記できるので、ミスが格段に減ります。

規模別の判断基準を整理すると、次のようになります。

  • 月5件以下・年収20万円前後 → 手書きで十分
  • 月10件超・経費の種類が多い → Excelで列管理
  • 青色申告(最大65万円の特別控除が受けられる申告方式)を選ぶ場合 → Excelか専用ツールが安心

帳簿の保存方法とNG例

帳簿は、記録するだけでなく「後から確認できる形で残す」ことが前提です。保存期間は帳簿・書類の種類や申告区分によって5年または7年が目安です。税務調査が入ったとき、帳簿と領収書が対応していないと説明がつかなくなるため、セットで保管する習慣をつけておくと安心です。

避けたい保存方法のパターンを3つ挙げます。

  • レシートの束だけを保管 → 帳簿への記入がなく、金額の根拠が示せない
  • メモアプリに取引をバラバラに記録 → 年間集計ができず、確定申告前に転記作業が膨大になる
  • 数ヶ月分をまとめて記帳 → 記憶が曖昧になり、摘要(取引内容の説明欄)が空白になりやすい

特に「まとめて記帳」は経験のある人でも陥りがちです。売れた日の翌日に1行書く習慣をつけるだけで、後の作業量がまるで違います。

方法の判断基準と保存ルールが整理できたところで、次は実際の記入例と列の構成を確認します。

副業帳簿の書き方・Excelの作り方記入例つきで解説

記入例を一度見ておくと、実際に書き始めるときの迷いが一気に減ります。手書きとExcelそれぞれの具体的な形を確認します。

手書き帳簿の記入例:フリマ販売の場合

手書き帳簿の基本は、1取引につき1行です。以下のような6列構成が、副業の簡易帳簿(白色申告で使う形式)として最もシンプルです。

日付取引先摘要収入支出残高
5/10メルカリ洋服売上3,000円3,000円
5/10ヤマト運輸らくらくメルカリ便 送料210円2,790円
5/10メルカリ販売手数料 10%300円2,490円

摘要欄は「後から見て取引内容が分かる」ことが最優先です。「売上」だけでは不十分で、「メルカリ 洋服売上」「らくらくメルカリ便 送料」のようにアプリ名と内容をセットで書くと、数ヶ月後に見返したときも迷いません。仕入れ代金を書く場合は「ハードオフ ジャケット仕入」のように仕入れ先と商品を合わせて記載するのが実用的です。

収入・支出を分けて記入し、残高欄に差し引きを記録する形にしておくと、白色申告で使う収支内訳書(年間の収入・経費をまとめる申告書類)に転記するときに列の対応が分かりやすくなります。

ExcelでつくるシンプルなA列〜F列の構成と計算式

Excel帳簿はA〜F列の6列で作ると、手書きと同じ構造をそのまま再現できます。

  • A列:日付
  • B列:取引先
  • C列:摘要
  • D列:収入(金額)
  • E列:支出(金額)
  • F列:残高

F列の残高は、2行目以降に `=F1+D2-E2` の形で入力します。1行上の残高に収入を足し、支出を引く計算式です。これをF列全体にコピーすれば、行を追加するたびに残高が自動更新されます。

月末に合計を確認したい場合は、D列とE列の末尾に `=SUM(D2:D31)` を入れておくと、月次の集計が一目で分かります。

フリマ販売1件の利益がどう帳簿に落ちるか、計算例で確認します。

計算例

販売価格
3,000円
メルカリ手数料 10%
300円
送料 らくらくメルカリ便(ネコポス)
210円
仕入れ値
1,000円
利益
1,490円

この場合、D列(収入)に3,000円を入力し、E列(支出)に手数料300円・送料210円・仕入れ1,000円をそれぞれ別行で記入します。経費を1行ずつ分けて入力しておくと、確定申告の収支内訳書で「荷造運賃」「仕入高」「その他経費」に振り分けるときに迷わずに済みます。

白色申告の収支内訳書には「売上金額」「仕入金額」「経費の合計」を記入する欄があります。帳簿のD列合計が売上金額、E列の内訳が各経費欄にそのまま対応するため、帳簿を正確につけておくことが申告書類を作る前処理になります。

取引件数が月10件を超えてくると、1行ずつ手入力する作業は思った以上に時間がかかります。入力ミスや行の抜け漏れも起きやすく、年間数十件分をまとめて確認する段階で集計がずれていると修正に手間がかかります。日常からデータとして蓄積しておくと、確定申告の時期に一気に楽になります。

レシート撮影だけで、経費を自動記録。
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帳簿記録仕組み化する|売上データを日常から蓄積するコツ

確定申告直前に1年分をまとめて記帳しようとすると、記憶が曖昧になり、領収書も欠けがちです。日常から少しずつ記録を積み上げる習慣が、結果として一番の時短になります。

売上・経費を記録し続けるための3つのルール

継続できるかどうかは、仕組みの簡単さで決まります。複雑なルールを作るほど途中で止まりやすくなるため、次の3点だけを守ることからはじめてみてください。

  • 売れたらその日のうちに記入する:翌日以降に後回しにすると、送料の種類や仕入れ値を忘れやすくなります
  • 領収書・配送明細は月ごとに封筒へまとめる:紙を一か所に集めるだけで、年末のバラツキがなくなります
  • 月末に残高を確認し、Excelの合計と照合する:こまめにズレを潰しておくと、確定申告前の修正が最小限で済みます

この3つは、簡易帳簿(白色申告で使う最低限の収支記録)の精度を保つためにも有効です。


手入力をさらに減らしたい場合は、まず各フリマアプリで取得できる取引履歴の範囲を確認します。個人メルカリはCSV出力に対応していないため、Webの販売履歴を印刷・PDF保存して転記するか、CSV化できる専用ツールを使う形になります。

フリマネージャーのような売上管理ツールを使うと、メルカリの販売データを自動で取得できるため、転記のミスや抜け漏れをさらに小さくできます。取引件数が月10件を超えてきたタイミングで、仕組み化を検討してみてください。

記録の習慣が整ったら、収支内訳書(白色申告で提出する収入・経費の明細書)への転記や、確定申告書類を作る手順も確認しておくとスムーズです。

副業全体の帳簿の土台から見直したいなら フリマ帳簿のつけ方 を、メルカリ中心で売上記録の流れまで具体化したいなら メルカリ売上の帳簿の書き方 もあわせて読むと整理しやすいです。

まとめ副業帳簿は手書きかExcelか、今日から始める一歩

記事全体で押さえてきたポイントを、ここで整理しておきます。

  • 手書き・Excelのどちらでも、税務署に認められる帳簿として有効
  • 最低限の記録項目は「日付・取引先・摘要・収入・支出」の5つ
  • 月5件以下なら手書き、月10件超や経費が複数あるならExcelが向いている
  • 帳簿と領収書は、種類に応じて5年または7年を目安に保管する
  • 売れたその日に記録する習慣が、確定申告の前処理を大幅にラクにする

大切なのは「完璧な帳簿をつくること」より、「記録を途切れさせないこと」です。手書きの1冊のノートでも、ExcelのA〜F列だけのシートでも、日々つけ続けていれば収支内訳書(白色申告で提出する収入・経費の明細書)への転記もスムーズに進みます。

取引件数が増えて手入力の負担を感じ始めたら、売上データを自動で取得できるツールを使うと、確定申告の前処理がぐっとラクになります。